葛飾最高裁判決を批判する声明文



 最高裁判所第二小法廷(今井功裁判長)は11月30日、葛飾ビラ配布弾圧事件弁護団の上告を棄却した。これによって罰金5万円の原判決が確定してしまった。立川自衛隊監視テント村は言論の自由を抑圧するこの判決を認めない。最高裁を糾弾し、立川反戦ビラ弾圧事件の判決とともにこの判決内容を批判し続けるものである。

葛飾の事件は、2004年12月23日、立川事件の一審判決からわずか8日後に起きた。東京地裁八王子支部で下された一審判決は被告らの行動を「加罰的違法性なし」として無罪の判決とした。葛飾の事件はまるでこれを認めない、警察・検察側からの反撃であるかのように起こされた事件だった。両事件には違う点も多いが、集合住宅へのビラまきを弾圧したという点では同じであり、事件の発生そのものには密接な関連があったと言える。

 葛飾事件でも東京地裁は荒川氏の行為や社会的な状況を細密に渡って検討し、立川事件以上に踏み込んで犯罪の構成要件を満たさないとして2006年8月やはり無罪の判決が出されている。立川、葛飾の両事件では一審判決こそがビラをポストに配布するという行為が社会的に認められていることを認め、事件の被告の行為がほとんど住人の平穏を妨げるものではなかったことに言及している。高裁、最高裁はこうした側面を無視し、形式的に管理者の許可をとらずに敷地内に入りドアポストにビラを投函したことから有罪の判決を下したのである。しかしそうであるなら、ほとんどの商業チラシや選挙のたびに大量配布される政党のチラシなどもすべて住居侵入罪の対象ではないか。

 結局、この最高裁判決により、権力者の都合のいいような基準で反戦ビラや革新政党のビラのみが抑圧されるものとなることは明らかだ。現実に全国の自衛隊官舎へのチラシまきは立川事件以降激減したはずである。

 しかし、2008年秋、この立川事件の最高裁判決など言論の自由を脅かす判決が次々に出ていることに対し、国連規約人権委員会最終報告に一連のビラまき弾圧事件への日本政府対応を批判する内容が盛り込まれた。国際的にはむしろこうした日本での動きに対して、危惧する声も大きくなりつつあるのだ。

 私たちは言論の自由を抑圧する今回の葛飾事件最高裁判決を認めない。地域の、全国の仲間とともにこうした状況に抗してビラをまき、政府を批判し続けていく。そしてこの判決に対して多くの人々が批判の声を上げてくれることを今後も訴え続けていきたい。


 2009年12月6日         立川自衛隊監視テント村

 

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