テント村通信

このコーナーでは、毎月発行している「テント村通信」から1面の記事を掲載します。




戦争法案を廃止に追い込もう!
―まだまだある見過ごされた問題点―(2015年11月号)




 戦争法案が成立して早くも1ケ月以上が経つ。改めてこの法律を細かく見ていくと、集団的自衛権だけでなくもっと多くの問題点を、私たちは暴露すべきだったと痛感する。国会審議やマスコミでほとんど取り上げられなかった問題点を以下に4点、紹介したい。

 1点目は、海外の邦人救出(新自衛隊法84条の3)だ。自衛隊が外国での「緊急事態」に、生命または身体の危害が加えられる恐れがある邦人を保護するという規定だ。今回、任務遂行のための武器使用が可能になった。つまり、攻撃されなくても武器を使用できるということだ。3月に政府は与党に対し、捕らわれた人質の奪還も可能と説明していた。「日本人を助ける」という口実さえあれば、世界中で先制攻撃ができてしまう。


もはやPKO法でもない
自衛隊が軍事占領に参加


 2点目は、PKO(国連平和維持活動)法だ。まず、「駆けつけ警護」=襲われた他国の兵士やNGOを離れた場所から救出する活動が可能になった。ここでも任務遂行のための武器使用ができる。次に、「安全確保業務」=治安維持活動が追加された。イラク特措法では空自は米軍兵士を輸送していたが、「安全確保支援活動」と規定されていた。今度は支援ではなく米軍が行っていた「テロリスト掃討作戦」などの「安全確保活動」そのものを担うことになった。

 さらに「国際連携平和安全活動」なるものが新設された。国連以外の組織、EUなど国際地域組織にも対象を拡大。対象組織は「政令」で決定するので政府の都合で何でも規定できる。こういった組織による統治組織の設立や再建への援助、軍司令部への参加といった活動が可能になった。つまり、イラク戦争での米軍を主体とした暫定統治機構(CPA)のような占領組織にも自衛隊が参加できることになったのだ。もはやPKO法とは名ばかりで、米軍の軍事占領に自衛隊が直接参加できるのだ。

 3点目は、船舶検査活動法。これまでは「周辺事態」の際の、日本の領海と公海での活動に限定され、武器の使用も自己防護のためのみだった。しかし今回、同意があれば他国の領海での船舶検査=「臨検」が可能になった。臨検とは、他国の船に乗り込み積荷を検査し、行き先を変更させたりする行為。国際法上、交戦権の代表的なものとされる。また、自己だけでなく「自己の管理下にある者」=いっしょに活動する米兵を守るための武器使用が可能となった。湾岸戦争を例にとればクウェートの同意を得て同領海で、イラクの船を臨検することが可能になるということだ。


開始すれば、米兵の救助は何と戦闘現場でもOK!


 4点目は、新設された捜索救助活動(重要影響事態安全確保法と国際平和支援法)だ。海上に不時着した米軍パイロットなどを自衛隊が救助する活動。これも同意があれば他国の領域でも実施可能。他の米軍協力と同様、現に戦闘行為が起きている場所では実施しないのが原則だが、何と探している米兵を自衛隊が発見し救助を開始した場合は、戦闘現場でも実施可能という例外規定が盛り込まれている。そうなれば戦闘相手からの反撃は必至だ。安倍が繰り返した自衛隊は戦闘現場では活動しないと言った言葉はまったくの嘘だったのだ。

 これだけの問題点があったのに野党もマスコミも問題にしなかったのは、日本人の生命を守る、PKO・反テロは国際貢献というイメージにだまされていたからだ。

 世界に目を移せば、大国による新たな武力行使が発生した。ロシアによるシリアでのISに対する空爆だ。アサド支援、中東での影響力行使、石油価格の上昇、チェチェン人掃討などいろいろな目的が取りざたされている。大国による利益追求のためのあらゆる武力行使に私たちは反対する。南シナ海での米中の動きも不穏だ。武力で平和は作れないことを再度、訴えたい。





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