テント村通信アーカイブ



日米ガイドライン再改定反対!(2014年11月号掲載)




 10月8日、日米両政府は、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しに関する中間報告を発表した。一言で言えば、地理的、時間的制約を取り払い、地球規模で平素から、日米軍が戦争を遂行する計画がつくられようとしている。年末に最終報告が、来年の通常国会に関連法が出ることになっている。日米政府間の勝手な合意だけで、憲法や安保条約をも逸脱した合意がなされることに、断固反対の声を上げていこう!


アジア・太平洋を越え、グローバルから宇宙まで


今回の中間報告の主な特徴は以下の通りだ。@現行の「周辺事態」を削除し、平時から「緊急事態」まで切れ目なく米軍支援を可能にする。A集団的自衛権の容認=「7月の閣議決定の内容」を「反映」させる。B米軍への後方支援や対米協力の範囲を「アジア太平洋及びこれを越えた地域」「グローバル(地球規模)な平和と安全」を目的としたものにまで拡大する。日米間だけでなく、多国間の安全保障協力や「海洋安全保障」を推進する。C宇宙、サイバー空間での監視、情報共有などの日米共同対処を強化。D武器輸出解禁を踏まえ「防衛装備・技術協力」を強化する。

具体的には、
◆情報収集、警戒監視及び偵察
◆訓練・演習
◆施設・区域の使用
◆後方支援
◆アセット(装備品等)の防護
◆防空及びミサイル防衛
◆施設・区域の防護
◆捜索・救難
◆経済制裁の実効性を確保するための活動
◆非戦闘員を退避させるための活動
◆避難民への対応のための措置
◆海洋安全保障、などの措置が盛り込まれるが、何を意味しているのか不明である。

このうちアセットの防護とは、米艦防護のことで、自衛隊法の「武器等防護」の規定を米軍にまで拡大し「グレーゾーン事態」=武装漁民やミサイル防衛の時点から米艦防衛を自衛隊が行うというものだ。また、海洋安全保障とは、海上での機雷掃海を意味するそうだ。

今回の改定は、これまでの改定と違い日本側が「中国の脅威」を念頭に米国に持ちかけたものと言われている。そのせいか、良くも悪くも一貫した戦略がない。とりあえずやりたいことを羅列したような内容だ。このような怪文書を絶対に認めることはできない。反対の声をより一層、拡大していく必要がある。


対テロ戦争が生んだイスラム差別に反対!


 自衛隊の強化が図られる一方、御嶽山噴火の救助活動でまたもや自衛隊礼賛の声が強まっている。阪神大震災でも東日本大震災でも、ヘリやボート、トラックなどを大量に保有する自衛隊の活躍が喧伝された。今回でも火山灰を吸い込まない防塵フイルターを装備したヘリは自衛隊機だけだったらしい。しかし、こういった資機材を本来なら消防が所有しているべきであるという声はまったく聞こえてこない。消防の所有するヘリは全国で32機しかないし、予算も自衛隊の半分以下だ。

さらにこの間、イスラム国に対する米仏を初めとした有志連合による空爆が開始された。安倍首相も「壊滅を期待」と表明し、難民支援などに54億円を拠出することを決めた。一方で国内でも、シリアに渡航しようとしていた大学生が逮捕された事件では、イスラム研究者や取材していたジャーナリストまで家宅捜索を受けた。今後、日本でもイスラム教徒への差別や弾圧が拡大していく恐れがある。すでに2〇1〇年には、警視庁が在日イスラム教徒7万人の身辺調査や尾行をしていたことが判明している。

テロの恐怖を煽り、将来は掃討作戦に自衛隊を協力させる可能性もある。イスラム国の台頭の背景には、アフガン、イラク戦争、欧米での「反イスラム」の風潮など、対テロ戦争によるイスラム差別がある。これが改められない限り、イスラム国に参加する若者は続くだろう。



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