テント村通信アーカイブ



フランス新聞社襲撃とIS人質事件を考える
辺野古の新基地建設反対!(2015年2月号掲載)




  沖縄では、辺野古新基地建設をめぐり緊張が高まっている。ボーリング調査を強行するためにキャンプシュワブ前に連日座り込む市民を機動隊で強制排除、逮捕 者やけが人が出ている。また海上で抗議するカヌー隊が全員拘束されるなど、連日の攻防戦が続く。防衛省への抗議行動も通常より人数を増やして行われてい る。三多摩では3月1日に映画「圧殺の海」上 映会も八王子北野市民センターで実行委主催で予定されている。今年は砂川闘争60周年だが、沖縄と東京にもある基地問題を結び、反基地反安保の闘いの足がかりにしていこう。


「言論の自由」なのか?


 沖縄の緊張の一方で、世界では血なまぐさい事件が起きている。フランスの風刺新聞「シャルリー社」などへの連続武装襲撃事件が1月に起きて、記者や警官など17名が殺害され、首謀者は全員射殺さ れた。襲ったグループは同社が掲載したムハンマドの諷刺画を批判して「神は偉大なり」を叫びながら、記者達を銃殺したという。フランスの社会は大きな衝撃 を受けて、この事件に抗議し言論の自由を守れという主張の巨大なデモが1月11日にあり、パリ市内で200万人、フランス全土を合計すると370万人もの巨大な行動になった。多くの参加者は「私はシャルリー」というスローガンを掲げた。

 言論に対して暴力的な対応を行うことは許されず、言論には同じ言論で立ち向かうべきだというのは正論だ。だが、近年日本でも大きな問題となっているヘイトスピーチはどうだろうか。在特会はあえて思想体系を持たず、相手を激しく攻撃する「朝鮮人・中国人は死ね」などの下劣な言葉を使う。議論ではなく、ただ差別排外主義の言葉をひたすら連ね、自己満足する。こういうヘイトスピーチは主張自体が許されない。法規制となると、他の言論へも適用が乱用される可能性があり危険だが、社会運動の力でこうした運動そのものを打倒する必要がある。

 仮に在日コリアンの人々がヘイトスピーチに耐えかね、在特会のメンバーに暴力を振るってしまったとしよう。「言論の自由」を守るために「私は在特会」のスローガンを掲げたデモを行おうという動きはありえないはずだ。

 シャルリー社の諷刺画はどうか。社では「ヘイトではない」と主張している。しかしイスラム教では他の宗教と違い偶像崇拝することが禁じられており、シャルリー社の絵に不快な思いを抱いたイスラム教徒は少なくない。デモにも「踏み絵」を踏む思いで参加したイスラム教徒も多いのではないか。

 今回犠牲になった画家の1人は、福島の原発事故で奇形になった力士の絵を描き、日本で も問題になったことがある。言論の自由は尊重されるべきだが、諷刺画は国家権力や政治家の悪行が題材でなければなかなか笑えない。今回の事件を起こした人々はアルジェリア人などのマイノリティだった。襲撃そのものは許されないが、シャルリー社の方も言論が社会的に差別抑圧されている人々を傷つけないか、慎重に検討したとは言えないのではないか。


人質事件を考える


  さらに問題はデモの先頭のような写真には、ドイツやイスラエルなどの各国元首が参加して写されていたことだ。実はデモ隊とは別にやらせも同然の撮り方で作られた映像なのだが、「テロ反対」を主張するネタニヤフは、自国軍隊がガザで昨年行った大量虐殺については正当なものだと思っているのだろう。しかしそれ はダブルスタンダードでしかない。

 こうした「テロ事件」の発生は戦争と深く関与している。パリ事件の後、武装組織「イスラム国」(IS)が2名の日本人捕虜の命の代わりに身代金を要求する事件が起き、25日現在、 湯川氏が殺害されたと考えられる映像が公開されている。

  もしアフガンやイラクでの戦争がなければ中東もここまでひどい混乱には陥らなかっただろう。安倍首相はそうしたことへの反省が全くないままに、IS周辺の国々へ「イスラム国の脅威を食い止めるために2億ドルを支援する」と表明してしまった。人道ではなくISとの戦争支持表明と見られこの事件につながったことは明白だ。安倍の行動が「テロ」を挑発したのだ。人質事件で海外での自衛隊活用が拡大していく可能性がある。戦争政策を進める安倍政権に対決していこう。



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