テント村通信アーカイブ



何でもありの安保法制の構築を阻止しよう!
(2015年3月号掲載)




 2月13日、今国会に提出する安保法制について、自民党と公明党の協議がついに始まった。昨年の集団的自衛権の閣議決定と同様、与党の密室談合だけで、自衛隊の活動の大転換を図ろうとするものだ。

 今回の協議の対象は、大きくは3つの分野。@武力攻撃に至らない侵害への対処(いわゆるグレーゾーン事態)、A国際社会の安定への協力、B「憲法9条の下で許容される自衛の措置」。Bが、自衛権の拡大=集団的自衛権にあたる。

このうち@では、自衛隊による他国軍防護(自衛隊法95条「武器等防護」の拡大)について米軍以外にも拡大することは継続協議とした。しかし、武装集団が離島に上陸した場合などの自衛隊の出動(「治安出動」と「海上警備行動」)について、電話による閣議決定での命令を可能とすることには早くも合意した。

米軍艦船等を武器と捉え、米軍そのものを防護する隊法95条の拡大は、集団的自衛権のかなり肝の部分だったはずだ。すでに@の段階で米軍については合意したということは、いかに内実のない協議かを示している。


いつでも、どこでも、ほぼ何でもできる自衛隊


 さらに2月20日の協議では、Aの分野の全体像が政府から提示された。これも3つに区分され、(1)日本の平和と安全を確保するための周辺事態法改正、(2)国際的な平和と安定のための恒久法制定、(3)国連決議に基づいて紛争後の復興支援などを行う国連平和維持活動(PKO)協力法改正に分類された。政府の位置付けでは、これらはすべて、武力行使ではない「後方支援、人道復興支援」分野とされている。

 協議では、政府が以下のような提案を行った。(1)について、「周辺」事態概念(=地理的制約、「放置すれば直接の武力攻撃に至るおそれ」)の削除。支援対象を米軍以外にも拡大。支援内容も「弾薬の提供」や「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」、強制的な臨検を可能とする。(2)について、「原則で」国会の事前承認の下、安保理決議なしで有志連合への後方支援のための海外派兵を可能とする。撃墜されたパイロットの救助や補給・輸送活動を行う。(3)について、「駆け付け警護」と治安維持任務(輸送任務などを妨害する武装集団の排除や住民保護)を可能とする。武器使用基準を緩和し、「任務遂行のための武器使用」にまで拡大する。

 これらの提案を受け、公明党は、「周辺」の地理的制約や安保理決議要件などを維持するよう求めているようだが、それしか言えないのがすでに腰砕けだ。今後の本丸のBの議論の行く末が想像できる。


「警察的な活動」だから、ついに人質奪還まで可能!


 この他にも27日には、政府から、別枠の邦人救出についても、治安が維持されていること、現地政府の許可を得ることを前提に、何と人質奪還まで可能とする方針が示された。「警察的な活動」だから武力行使にならないという常軌を逸した理屈だ。

 さらに、23日には、「文官優位」を廃止する防衛省設置法改正案が明らかになった。背広組が政策面、制服組が軍事面からそれぞれ防衛相を補佐すると規定。背広組と制服組に重複があった部隊運用の部門を統幕に一元化する案だという。


もはや憲法は、何も禁じていないかのよう!


 これらの法制は、武力行使の定義を極小化することによって、自衛隊の活動範囲・権限を極限まで拡大・合法化するものだ。戦後、自民党政権が推し進めた解釈改憲の極致とも言えよう。もし、これらが認められれば、もはや憲法が禁じる武力行使とは、一部の極端な先制攻撃や、前線での銃そのものの提供だけということになる。

どんな戦争でも自衛隊は米軍を「後方支援」できる。どんな場所であっても「戦闘行為現場」ではないから「後方」だ。これから戦闘が起きそうな場所で弾薬を提供し、空爆に向かう戦闘機やヘリに給油し、米軍パイロットを救助する。当然、米軍と同類と見なされ攻撃される。待ってましたとばかり、「任務遂行」や「正当防衛」だと言って反撃する。そんなシナリオが想像できる。「後方支援」だけでもこれだけのことができる。「人質」がいればもっと何でもアリだ。

こんな安保法制構築を絶対に許してはならない。沖縄の状況も目が離せないし、5月には立川憲法集会がある。安倍の暴走を食い止めよう!



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